洋裁をするなかで、「生地選びが楽しい!」という方も多いと思います。
お気に入りの生地を見つけたら、きれいに仕上げるのが楽しみになりますよね。
でも、なかには「生地選びが難しい」、「どのように選べばいいかわからない」という声も聞きます。
そこで、ここでは、「洋裁で大人服をきれいに作るためのデザインと生地選びのポイント」について、解説していきます。
覚えておくと便利! 洋裁でよく使われる生地の種類4選
まずは、洋裁でよく使われている生地の種類を見ていきましょう。
天然素材と化繊生地
生地は、ざっくりと大きく分けると、天然素材の生地と、化学繊維の生地に分かれます。
天然素材とは、植物など自然界のものを原料としてつくられているものです。
原料が栽培によってできているため、食品などと同じように近年にみられる気候変動によって、価格も変動していく可能性もおおきいのです。
一方、化繊の生地は、化学的に作られているため、物価の高尚もありますが、栽培する天然素材よりは、安定していると言えるでしょう。
”化学繊維”というと、昔は、肌に良くないなど、あまりいいイメージをもたれなかったかもしれませんが、今では、年々、本当に質のいい化繊生地が多く作られ続けています。
吸収率のいいもの、速乾性のあるものなど、スポーツ用品としてもたくさん使われています。
洋裁で使われる代表的な天然素材
洋裁でよく使われる天然素材の代表といったら、綿と麻です。
初めて服を作る。という時には、綿か麻、または綿麻混紡を選ばれるかたが多いと思います。生地屋さんにも多く揃っています。
また、綿や麻は比較的縫いやすいため、洋裁初心者の方でも扱いやすいです。
他の天然繊維では、絹(シルク)、毛(ウール)があります。
どちらも扱うことの難易度は上がりますが、服として着たり触れたりしたことはあると思います。
よく使われるこの2つの化繊生地の特徴を使い分けよう
化学繊維は山のように種類がありますが、洋裁でよく使われる代表がポリエステルとナイロンです。
ポリエステルは世界で最も多い合繊繊維と言われています。
服地以外にもインテリアや傘・テントまで世の中のたくさんのものに使われていますが、服地としてもポリエステルだけでもたくさんの種類があります。
ナイロン素材で出来ているものとして、代表的なものは、ストッキング、エコバッグが有名です。
どちらも生地としては別物のように感じられるかもしれませんが、共通点は「丈夫さ」です。
ただ、熱に弱いというデメリットがあります。
デザインの種類で変わる生地の選び方
まずはチェックしたい、デザイン別の生地の極意
ソーイング本を見て、作りたい!と思ったデザインがあったら、まず考えないとならないのは、どんな生地が適しているか。ということです。
極端に言うと、フレアーたっぷりの揺れるスカートが本に載っていたとしたら、シワになりやすい綿や麻では、その本通りに作ったとしても、同じようなシルエットは出ません。
タイトスカートなど特にボトムスで体にフィットしているものを作るのに、あまり薄いポリエステル生地だと、体のラインが出過ぎてしまいます。
見た目のデザインとは別に、欲しい「シルエット」が出る生地を選択する必要があります。
陥りがちな視点・好きな生地と着れる生地
服を買う時は、デザインや色がまず目に飛び込んできます。
そして、鏡に合わせて、素敵だな、とか、自分に似合うかな、などの視点で買うかどうか決めることに対して、生地を買いに行く時は、その生地から、でき上がった服を想像しなければなりません。
簡単なようですが、これが案外難しいものです。
生地だけを見て、
- 可愛い花柄
- 好きな色のチェック柄
- 色として好きな色
だけで判断しがちです。
生地だけ見て「好きな生地」を買ってきたものの、これで何を作っていいのかわからない……
こんなことになりがちです。
好きな生地、好きな色が、必ずしも服として着れる生地とは限らないのです。
服を買いにいく時の視点と生地を買いに行く時の視点、この差をどれだけ埋めるのかがポイントです。
意外と盲点・デザイン別生地の重さ
生地には、見た目の色やデザイン、触り心地、とは別に、生地それぞれによって、重さがおおきく異なります。
同じ1mを買っても軽いものもあれば、ずっしり重たいものもあります。
例えば、全身を包むワンピースで、ロング丈で長袖、しかもスカートはタイトではなくギャザーやフレアーたっぷり、身頃も袖もゆとりたっぷり……となったら、それを作るのに、多くの生地量を使います。
そのくらいのデザインだと生地幅にもよりますが、2.5m〜3mくらいは使用するでしょう。
作りたいと思った生地があったら、その生地量を一回持って見てください。
重い生地だと、その量があったら、かなりずっしりきます。
服にした時にこの量を体にまとってる、しかもワンピースだと、この量を肩だけで支えることになります。
これで1日出かけたら、重い荷物を持っているかのように、かなり疲れてしまいます。
特に用尺を使うものは、盲点になりがちな「生地の重さ」を考慮してデザインと決めていくといいでしょう。
生地選びで迷った時はこの3つのポイントでチェック
見ただけではわかりにくい3つのポイント
パッと見て、かわいい!すてき!だけでは、それが服になった時に本当に素敵なものに仕上がるか、注意が必要です。
以下の3つのポイントで、チェックしてみてください。
厚みのある生地は、しっかり支えてくれるので、ボトムスには安心です。
トップスには、袖がつくと動きに制限が出てきます。
あまり厚い生地だと、腕を下ろした時に、脇下に生地がたまってゴワゴワし、動きにくくなります。
厚手の生地の中でも、「厚くて硬いのか、厚くても柔らかいのか」が、判断基準になります。
生地をぎゅっとにぎってみて、厚みと硬さを確認しましょう。
厚い生地とは真逆で、基本的には、透けるのでボトムスにはあまり向きません。
トップスでは、透け感のある生地は、生地だけ見るとすてきですが、でき上がった服をどうやって着るのか、まで想像しておくと、作るアイテムがイメージしやすくなります。
透けることを前提として、中にインナーを着用するものなのか、下着の上に直接1枚で着たいのか。
透ける服は、透明感があり、着こなしにも奥行きが出るので、とても素敵に見えます。
ですが、その透けた先に下着が丸見え……になると一気にイメージダウンです。
「作った服をどう着るか」まで考えて、作るものを選ぶといいでしょう。
意外に盲点になるのが、生地の落ち感です。
落ち感ってなに?と思われるかもしれませんが、ギャザースカートをイメージしてみてください。
同じギャザー分量を入れても、ウエストから盛り上がってギャザーが出る、ふんわりするタイプと、ストーンと下に落ちてくれるタイプがあります。
ギャザースカートに限らず、下に生地量が多い、フレアー分があるようなものは、落ち感がある生地を使うと、シルエットがきれいに出ます。
歩くたびに、しなやかな動きが出ます。
落ち感のある生地の反対とすると、ふくらみのある生地や張りのある生地です。
デザインと生地のマッチングで大切な視点
一つのデザインから複数の服が作れてしまうワナ
デザインと生地のマッチングをそれほど重視しなくても、どの生地でも作ろうとすれば作れてしまいます。
本通りに作ったのに、なんだか思ってたのと違う……この多くは、縫う技術の前に、生地とデザインのマッチングで起こっていることがほとんどなのです。
もちろん、デザインに合っていない生地で作ると、作りにくい、きれいに縫えない、ということも起こってくるでしょう。
かなり重要なポイントになるので、注意が必要です。
失敗しない生地選びのための3つのチェックリスト
なんとなく、すてきな生地!きれい!好き!で、「いきなり3m買ってしまった!」などがないように、まず、考えてほしいのが、以下の3つのチェックポイントです。
- どんなアイテムに適しているか
- どんなデザインとあっているか
- その生地は、どんなデザインだと縫いやすいのか
そして、その生地ででき上がった服を着ている自分の姿を、想像してみてください。
そこまで想像できたら、作り出すのも待ち遠しいし、早く進みます。
作りたいものが決まったら、絶対に考えておくべきこと
せっかく洋服を作ったなら、ぜひそれを着て出かけてほしいです。
しかし、すてき!と思って作ったのに、
- 何に合わせて着ていいかわからない
- どこに着ていっていいかわからない
- サイズが合わない
なんてことになりかねません。
その服を着こなすことで、作る喜びがさらに広がりますし、着ることを楽しむことで
次の作品作りの意欲にもなります。
作ってみる→着る→うれしい→また作りたくなる
何かと慌ただしい日常かもしれませんが、この豊かさの連鎖をぜひ人生の中に取り入れていってください。